入籍だけ、と言いながら、
私は勝手に結婚ごっこを楽しもうとしていた
結婚指輪に刻んだ日付は末広がりの８日
だからこの日に入籍するしかなかったのよね
ちょっと迷った
結婚やめるなら今しかないんじゃないか
でもここでやめたら
わたしは一生結婚しないかも
ここまで来たんだから
やっちゃえ結婚！
エイッと婚姻届けを出して
戸籍を見て
ハッとした
わかっていたけどリアルにみると
ショックだった
バツがついている人の隣にはほかの人がいて
わたしは次の紙に名前が記載されていた
バンジージャンプして
命綱がぷつりと切れたような気がした
エイッと勇気出すんじゃなかった
この人バツイチだった
そこには愛があって
悲しい出来事があって
離婚した
私の知らない過去
急に自分がかわいそうになって
涙があふれてきた
そう
わたしはそのとき
自分のことしか考えてなかった
結婚ごっご
幸せな入籍
そうじゃなかったから
悲しむ悲劇のヒロインのわたし
今思うと見てらんない
でもその時はそう思っちゃったんだから仕方がない
夫よ、ごめん。
ほんとによく耐えてくれた
夫はその時悲しむわたしをみて
…呆れていた
なぜ泣く？こいつめんどくさいなぁ
農家するっていうからうちに来させたのに
あ～めんどくさっ
って思ったかどうだか知らないけど
とにかく帰りの車を運転する彼はイライラしていた
そんなスタート
やはり結婚は恋愛感情ゼロでしてはいけない
当然か(笑)
そしてこの非常識なわたしはまだまだ続く
なので事件はつぎつぎ現場で起こっていく
つづく
